エモリエントとは
エモリエント(Emolient)は、「柔軟にする」「やわらげる」などの意味で用いられます。
「モイスチャー 」が同じ意味に使われることもあります。
うるおいの保たれた健やかなキレイ肌は、適度な水分と皮脂とのバランスによって保たれています。
その状態を維持するためや、損なわれている場合の補足として、化粧品が使用されます。
化粧品におけるエモリエント効果とは、「皮膚からの水分蒸散を抑えてうるおいを保ち、皮膚を柔らかく保つ」こととされ、エモリエント剤を配合することで得られます。
エモリエント剤とは
エモリエント剤は、保湿効果を与えるためや使用感を良くする目的で配合されます。
その代表的な原料は、動物油脂や植物油脂などの各種の天然油脂成分、これら動植物の油脂やロウ類から精製分離された高級アルコールや高級脂肪酸、エステル油などのいわゆる油脂類です。
- 植物油
- 動物油
- 植物油
- エステルオイル
- シリコーン系オイル
オリーブ油、ホホバ油、アーモンド油、アボカド油、コメヌカスフィンゴ糖脂質など
ミンク油、スクワラン、牛脂、馬油など
セタノール、イソステアリルアルコールなど
ミリスチン酸オクチルドデシル、エチルヘキ酸セチルなど
ジメチコン、ジフェニルジメチコンなど
- 皮膚に清浄効果、エモリエント(柔軟)効果、保護効果を与える
- 製品の安定性、使用性(使用感の向上)、外観などを改善
- 使いやすい形状にする成形機能、添加剤を溶かすための溶媒機能
こうした油脂類の働きは、上記の通りです。
エモリエント効果による皮膚への作用
しなやかさを失った肌にやわらかさを取り戻す=エモリエント効果として化粧品では表現され、エモリエントクリームとしては、保湿クリーム・ナイトクリーム・モイスチュアクリームなどと呼ばれる化粧品がその効果を果たす役割とされています。
エモリエントクリームと一言に言っても、配合されている油脂分の程度や使用原料により、以下の3つに分類されています。
- 弱油性クリーム
- 中油性クリーム
- 油性クリーム
油分が10~20%程度のさっぱりした使用感を持つクリーム類
油分が20~50%前後で、使用感の幅が広いクリーム類
世の中の大部分のクリーム類がこれに該当する
油分が50~85%に及ぶクリーム類
皮膚表面におけるエモリエント性
うるおいのある、しなやかな肌は、以下が組み合わさって成り立つと言われています。
- 体内から角質層へ水分が拡がり、水分が補給されてくること
- 角質層の内部で、水分がしっかりと保持されていること
- 皮膚表面から水分が蒸発することが防止されていること
- 外部から、適時、水分が補給されていること
化粧品におけるエモリエント性の向上は、③と④を行うことのみです。
つまり、エモリエント性の高い、うるおいのある肌を作るには、肌の生まれ変わりがスムーズに健やかに行われ、なおかつ、角質層の細胞がしっかりとその役割を果たすことが重要なカギとなります。
投稿日:2018.11.26