化粧品容器の材質
ガラスと樹脂のメリットとデメリット
化粧品の容器に使われる材質はさまざまですが、大別すると、『ガラス』と『樹脂』に分けられます。樹脂とは、塗料・食品・医薬品・農業薬品などの容器によく使われており、『ポリプロピレン(PP)』や『ポリエチレン(PE)』と表記のあるものです。
ガラス容器のメリットは、その『強さ』にあります。外界からの刺激に影響されにくく、入れるものがどんなものでも、中身も容器自体もほとんど変質しません。そのため、効果が強いために容器自体に変質の可能性を与える薬品などには、ガラス容器が使用されています。
ガラス容器のデメリットは、重くて、割れやすいということです。また、ガラスは処分もしづらいです。ですから、頻繁に使う化粧品には、不向きと言えます。
一方、樹脂容器は、ガラスに比べると『弱い』と言えます。ただ、化粧品なら、問題ありません。樹脂には、単層(薄い)と、多層(厚い)がありますので、多層であれば化粧品の安全性は十分に確保できます。
樹脂容器のメリットは、その軽さと使いやすさでしょう。また、ガラスと違い、処分もしやすいです。そのため、樹脂は日常的に使う化粧品には向いていると言えます。
つまり、薬品の中でも、劇薬(外部に漏れたり、変質すると毒性になるもの)などは、ガラス容器の方が向いています。でも、化粧品の場合は、そこまで危険な成分を配合しないので、樹脂容器のほうが優れていると言えます。
にもかかわらず、ガラス製の容器に入った化粧品って多いですよね。その理由は・・・また後で言いますね。
化粧品容器の形
ジャータイプとチューブタイプのメリット・デメリット
化粧品を作る際、通常はその中身や使い方によって、容器の形を選定します。 例えば、中身の『硬さ』によっても変わります。
水のような液体に近いものだと、ポンプタイプがよく使われます。 逆に粘質が強くなってくると、ポンプでは吸い込まなくなるため、チューブタイプやジャータイプ(フタをくるくると回して開けるもの)の容器が、よく使われます。
今回は、ゲル(ジェル)クリームを例に見てみます。 一般的に、ゲルクリームの容器のタイプは、ジャータイプ・チューブタイプが多いです。
ジャータイプの容器から見ていきましょう。
ジャー容器のメリットは、ロット数(作る数)の少なさです。私が独立した当初は、3,000個が最低ロットだったのですが、今は1,000個程度で作ることができます。特にこだわりがなければ、数百個から作ることが可能です。そのため、小さな化粧品メーカーや販売数の少ない化粧品に向いています。
ジャー容器のデメリットは、使う際に菌の侵入を簡単に許してしまう点です。フタを開けて使う時に、外気に触れる面積が非常に多くなります。また、クリームを取るときに、指を突っ込むことでも菌が侵入する確率が高くなります。
一方、チューブタイプの容器のメリットは、衛生的であるということです。 使用時に空気に触れる部分も非常に限定的ですし、指を入れることもありません。また、指が汚れないので使い勝手もいいと言えます。
デメリットは、ロット数の多さです。最低10,000個が必要で、ある程度、数の出る化粧品でしか作ることができません。(最近は既製品のチューブ容器を使い、ロット数を少なくできる場合もあります)
つまり、ゲル(ジェル)タイプの化粧品を作る時、販売数が少ない場合にはジャー容器が向いています。逆に、衛生面・利便性を重んじるなら、チューブ容器が向いています。
ということは、作る数さえ確保できれば、チューブ容器の方が良いと言えます。
でも、大きな化粧品メーカーから出されている販売数の多い化粧品でも、ジャー容器って多いですよね。
その理由は・・・次回にお話いたしましょう!
続き『容器を見てわかる化粧品のコンセプト2』へ
投稿日:2014.05.14