こんにちは、スキンケアアドバイザーの古市です。スキンケアアドバイザーの仕事を続けて約10年。日々、電話やメールでスキンケアの相談をお受けしています。
先日は、乾燥肌・敏感肌だという30代前半の女性から、こんなお問い合わせをいただきました。
好きなモデルさんや憧れの人がしているスキンケアとなれば、「自分もやってみたい!」と思うのはとても自然なことだと思います。
私も、憧れの女優さんがしているスキンケアや体型の維持方法などには興味深々です!キレイの秘訣はぜひ真似してみたいですよね。
でも、今回伺ったご相談では、実際に同じ手作り化粧品を使っているのに、モデルさんのようには、肌がキレイにならないということでした。キレイな肌になるために真似をしたのに、これはすごく残念ですよね。そう思った時に、ひとつの疑問が浮かびました。
『手作り化粧品』って確かに人気で、「キレイになれる」「肌に良い」と言われますが、相談くださった方のような、敏感肌・乾燥肌の人にとっても『良いもの』なのでしょうか?もしかすると、使って効果のある人とそうでない人がいるのではないでしょうか?
この疑問を解消するために『手作り化粧品の良さ』を検証してみることにしました。
手作り化粧品が『良い』とされる4つの理由
『手作り化粧品は肌に良い』の『良い』とは、どういうことを言うのでしょうか?インターネットや書籍を調べてみて、どうやら、次の4点において『良い』と言われていることが分かりました。
- 【価格】市販の化粧品よりもはるかに安価だそうです。
- 【簡単】『混ぜるだけ』で、簡単に作れるそうです。
- 【安全】自分で作るので、化粧品にどのような原料が使われているのかが分かる。また、防腐剤やアルコールといった、自分が使いたくない成分を入れないで作れるため安心・安全で、『肌にやさしい』と言われています。
- 【効果】スキンケアの目的は『保湿』です。手作り化粧品は安価なので『たっぷりと使える』、そして『加える成分によって、保湿効果が高めることができる』と言われています。
さて、以上の4つの『良い』点は、乾燥肌・敏感肌の方にもあてはまるのでしょうか。さっそく、次の3つの方法で検証してみました。
手作り化粧品の『良い』ところを検証!
やっぱり実際に作ってみないと分かりません!
私は手作り化粧品初心者ですから、作り方が一番簡単だと言われる『保湿化粧水』と『乳液』を、インターネットで調べたレシピを参考に作ってみました!
まず、必要な用具と原料を購入します。
必要なものを準備
- 『化粧水』と『乳液』作りに必要な用具
- ビーカー2つ
- 原料をかき混ぜるためのガラス棒
- 作った化粧品を保存する容器2つ
- 計量用のさじ
- 温度計
- スポイド
- 『化粧水』と『乳液』作りに必要な原料
- ホホバオイル
- 植物性ワックス
- 精製水
- グリセリン
- 精油(香りづけ)
まずは、肌に水分を与える化粧水から作ってみます。
手作り化粧水の作り方
用具: ビーカー、ガラス棒、ろうと
原料: 精製水95ml、グリセリン5ml
作り方: 精製水にグリセリンを入れて、混ぜます。おわり。
化粧水作りは、精製水と保湿剤のグリセリンを混ぜるだけなので、本当に簡単でした。グリセリンは水によく混ざる性質をもっているため、ガラス棒でかき混ぜるだけです。
ただ、心配な点もありました。グリセリンは水よりも重たいものなので、精製水に加えると、ビーカーの底に溜まっていきます。ガラス棒でかき混ぜると底にたまっていたグリセリンは、見た目には水に混ざって見えなくなります。
精製水にグリセリンが溶けたところ
でも、「これは均等に混ざっているのか?」「いつか分離しないのか?」と、混ぜた終えた後も不安が残りました。
次に、『乳液』を作りました。
乳液は、化粧水で与えた水分を蒸発させないためにフタの役割をします。このように、化粧水の後に乳液やクリームなどの油分の多い化粧品でフタをしなければ、肌を保湿することはできません。
手作り乳液の作り方
用具: ビーカー2つ、ガラス棒、さじ、温度計、スポイト
原料: ホホバオイル、植物性ワックス、精製水、グリセリン、精油(香りづけ)
作り方:
1.ビーカー①に、オイルと植物性乳化ワックスを入れて湯煎にかけます。60~70度くらいになったら、植物性乳化ワックスが溶けてくるので、よく混ぜます。
2.ビーカー②に精製水を入れ、60~70度くらいに温め、①の容器に少しずつ加え、その都度よく混ぜます。
3.①と②の中身がよく混ざってトロリとしたら保湿剤と精油を加えて、さらによく混ぜ合わせます。
乳液作りは、想定していた以上に時間がかかりました。
まず、オイル(油分)に、水と油を混ぜるための界面活性剤(植物性乳化ワックス(固形))を溶かすために、これを湯煎にかける必要があります。そのかたわらで、精製水も湯煎で温めて同じ温度にし、それを、オイルとワックスが混ざったビーカーの中に入れて混ぜていきます。
界面活性剤が含まれていると言っても、水と油ですから、しっかりと混ぜないと分離してしまいます。最初に作ったときは、横着をして、精製水を温めずに①のビーカーに入れたら、見事に分離してしまい失敗しました(泣)。
2回目は、精製水をしっかりと温めて混ぜたため、きれいに混ざりました。しかし、自分が想像していたよりも乳液のとろみが少なく、本当にこの形状が完成形なのかとても不安でした。
香り付けの精油は今回、ラベンダーを選びました。個人的には、ベルガモットの香りが好みなのですが、ベルガモットやレモン・メリッサ等のエッセンシャルオイルには、肌についた後、直射日光に当たると、シミになる(光感作用)可能性があるらしく、使用を控えました。
精油を選ぶときには、香りだけでなく、その性質も調べておくことをおすすめします。
できあがった乳液。とろみが少ないです。
『1.手作り化粧品を作ってみました』で完成した手作り化粧水と乳液で、実際に1週間スキンケアをしてみました。
まず、アレルギー反応が出ないかどうかを調べるために、二の腕でのパッチテスト(48時間)を行いました。パッチテストの結果、赤みやかゆみ、湿疹などのアレルギー症状は見られなかったため、作った化粧品でお手入れを始めました。
手作り化粧品を使い続けて感じたこと
私はこれまでオールインワンのゲル化粧品で保湿のスキンケアをしていました。化粧水と乳液というように、2種類以上の化粧品を使うスキンケアは久しぶりだったこともあり、戸惑うポイントがいくつかありました。
戸惑いポイント①
化粧水がなじまない
500円玉くらいの量の手作り化粧水を手にとり、顔に塗り広げました。化粧水の配合成分は、ほぼ精製水(水分)です。そのため、顔につけても化粧水が皮脂で弾かれてしまい、なかなか『浸透した』という感覚が得られませんでした。
でも、化粧水を作るための原料は手元にあり、無くなってしまってもすぐ作れます。そのため、浸透のことは一旦気にせずに、手作り化粧水をバシャバシャとたっぷり使いました。
戸惑いポイント②
どのタイミングで乳液を塗っていいのか分からない
化粧水が浸透した感覚がなかったため、いつ乳液を塗ったらいいのか、そのタイミングが分かりませんでした。結局、鏡で見ても肌に化粧水が残って濡れている状態でしたが、その上から乳液を塗りました。
戸惑いポイント③
もの足りなさを感じる
作ったときに「これが完成系?」と不思議に思った乳液でしたが、オイルがたっぷり入っていたため、塗るとしっかりと油分でふたができている感じがありました。しかし、翌朝起きたときに顔を触ると、これまでにはなく肌が乾燥していて、保湿力に物足りなさを感じました。
戸惑いポイント④
普段はない肌トラブルが発生!
手作り化粧品でお手入れを続けているうちに、生理前だったためかもしれませんが、普段はできないニキビができたり、顔の赤みを感じました。さらに、手作り化粧品の保湿効果をより客観的に検証するために、器械で肌診断を行いました。
手作り化粧品でのスキンケアを始める前と、1週間スキンケアを続けた後の肌状態を器械で計測
使った器械:バイルスキンアナライザーシステムL-S-KPLS佐藤商事
計測結果
手作り化粧品でのスキンケア前と後の計測結果を見ると、『総合皮膚指数』が33→26と、若干評価が下がっています。
モバイルスキンアナライザーシステム
お手入れ前(左)、お手入れ後(右)
市販の化粧品のように、化粧水・乳液ともに洗面台に1ヶ月間置いてみました。
化粧水、乳液ともに防腐剤を入れていないため、空気に触れるたびに酸化したり、雑菌が増えたりして、品質が変化していくことが心配されます。しかし、化粧水、乳液ともに『見た目』『におい』に変化はなく、使っても肌に異常は感じませんでした。
以上を踏まえ、「『手作り化粧品』が乾燥肌・敏感肌にとって良いのかどうか?」次回、まとめをお送りいたします。おたのしみに!
更新日:2017.09.30投稿日:2015.09.30