人気の『手作り化粧品』。「キレイになれる」「肌に良い」と言われますが、敏感肌・乾燥肌の人にとっても『良いもの』なのでしょうか?もしかすると、使って効果のある人とそうでない人がいるのではないでしょうか?
手作り化粧品の道具と原料を買い集め、実際に作り、使い、「手作り化粧品が『良い』とされる4つの理由』が正しいのかどうか、世の中の口コミを検証してみました!
手作り化粧品が『良い』とされる4つの理由
- 【価格】市販の化粧品よりもはるかに安価だそうです。
- 【簡単】『混ぜるだけ』で、簡単に作れるそうです。
- 【安全】自分で作るので、化粧品にどのような原料が使われているのかが分かる。また、防腐剤やアルコールといった、自分が使いたくない成分を入れないで作れるため安心・安全で、『肌にやさしい』と言われています。
- 【効果】スキンケアの目的は『保湿』です。手作り化粧品は安価なので『たっぷりと使える』、そして『加える成分によって、保湿効果が高めることができる』と言われています。
さて、以上の4つの『良い』点は、乾燥肌・敏感肌の方にもあてはまるのでしょうか。さっそく、次の3つの方法で検証してみました。
化粧品を作るためには、原料以外に器具を揃えなければいけなくて、原料・器具込みで合計金額は約4,000円になりました。もっと安くできると想像していたので、予算オーバーでした。
ただ、器具は一度揃えてしまえば、その後は何度でも使えます。
また、原料も、購入したものを一度に全部使うのではないので、次の機会にまた使えます。
初期費用は少し高めかもしれませんが、一度揃えてしまえば、市販の化粧品を購入するよりも手作り化粧品の方が安価になりそうです。
化粧水は想像以上に簡単でした。しかし、本当に精製水とグリセリンが混ざっているのか、という不安をどう解消したらいいのか、分からずじまいでした。
乳液は、うまく混ぜることができず、手こずりました。同じ乳液でも、作り方はいくつかありますので、他の作り方(レシピ)を試したり、ミルクホイッパーなどを使えば、もっと簡単に水と油を混ぜることができたのかもしれません。
今回の検証では、「簡単」とは言い切れないなと思いました。
『安全』にも、いくつかの考え方があるように思いました。
まず1つは、「アレルギー反応が出る成分を避けることができるから安全」という考え方です。これは、この通りだと思います。手作り化粧品は自分の好きな原料を組み合わせて作ることができるので、アレルギー反応が出る成分を避けて化粧品を作ることができます。
ただし、その原料が「どのように作られているのか」、「何から抽出されているのか」は、原料を販売してる店舗やサイトの説明から判断することになります。
もしかすると、原料の製造時にアレルギー反応が起こる成分が使われているかもしれません。「アレルギー反応が出る成分を避けたい」ということでしたら、原料を製造するときに使われているキャリーオーバー成分も、しっかり調べてください。
2つ目は、「『アレルギー反応が出るわけではないけど使いたくない原料』を避けることもできるため安全」という点です。例えば、防腐剤を避けたくて、手作り化粧品を作ろうと思う方も多いと思います。
これには注意が必要です。防腐剤は、「手作り化粧品だから避けられる」ということにはなりません。化粧品の原料には、ほとんど場合、原料自体に防腐剤が入っているからです。
どうしても防腐剤を避けたい場合は、原料に防腐剤が入っていないかどうかを確認した方が良いでしょう。また、先述したキャリーオーバー成分と同様に、しっかり調べる必要があります。
ただし、防腐剤が入っていない原料を手に入れたとして、防腐剤を配合せずに化粧品を作る場合には、作る場所や量、保管場所を管理する必要があります。
市販の化粧品は、『化粧品製造業許可』という許可申請をして、認定された工場で作られています。薬事法で定められた衛生面や技術をクリアした工場で、薬剤師や薬学又は化学の専門的な知識を持った人が管理をする場所で化粧品は作られています。
しかし、手作り化粧品の場合は、キッチンや洗面所・リビングなどで作ることがほとんどだと思います。滅菌・抗菌できている工場とは全く違う環境ですから、雑菌が混ざり込む可能性は高いです。
さらに、使い続ける中で、何度も容器を開け、その度に化粧品は空気に触れます。このような使用過程でも、菌が入り込む可能性は十分にあります。
化粧品に雑菌が入り込んでしまった場合、防腐剤を配合しなければ、雑菌はどんどん繁殖します。菌が繁殖して、化粧品の匂いや見た目が変われば、危険を感じて、使用を中止することができます。
しかし、今回の検証では、防腐剤を配合せずに作ったのにもかかわらず、1か月間放置している間に、匂いや見た目が変わりませんでした。
雑菌が繁殖しているかどうかまでは検証できませんでしたが、繁殖を防ぐ対策は何もしていなかったので、おそらく清潔ではなかったでしょう。
もしかすると、普段できないニキビができたり、顔の赤みが気になったのは、保湿力不足だけではなく、化粧品に繁殖した雑菌が原因だったかもしれません。
いずれにしても、防腐剤を配合しないのなら、すぐに使い切れる量だけを作りましょう。そして、容器はアルコール等で除菌し、保管は冷蔵庫等が良いと思います。
手作り化粧品の『安全性』については、万が一の場合の肌へのリスクを理解し、そのリスクに自分で責任を持つことが大切だと思います。
手作り化粧品でスキンケアを行った期間中、化粧水は「なくなってもすぐ作れる」という思いがあり、私は湯水のように贅沢に使いました。
このように、手作り化粧品なら気兼ねなくたっぷり使えるので、市販の化粧水を少しずつ使うよりも、保湿効果を得ることができて良い、と感じる方もいるかもしれません。
しかし、私は、今回作った化粧水と乳液に、普段使っている化粧品よりも高い保湿効果は感じませんでした。肌診断の器械で測定した結果や、私が感じた『物足りなさ』、そしていつもはできないニキビができたり、顔の赤みが気になったことも、保湿効果が不十分であった結果だと思います。
ただ、自分で自由に作ることができるのが手作りの特長です。ですから、原料の量や組み合わせ方によっては、今回作った化粧水や乳液よりも保湿効果が高いものができるのかもしれません。
インターネットで調べると、手作り化粧品は、配合する原料を調節できるため「自分の肌にあったものを作ることができる」と紹介している記事がありました。実際、手作り化粧品のレシピを探すとたくさんあります。もしかすると、自分が望む保湿効果を得られるレシピが存在するのかもしれません。
しかし、自分の肌に合う(トラブルが起こらない、期待した保湿効果が得られる)ように原料を調節するには、試行錯誤をする必要があります。
いくつもの原料を購入し、分量を変えながら何種類もの化粧水や乳液を作り、ようやく自分の肌に合うものが分かってくるものだと思います。時間も費用もかかりますし、自分の肌で試していくものですから、乾燥肌・敏感肌の方にとってはリスクが非常に高いように思いました。
結論
『手作り化粧品』は、敏感肌・乾燥肌にとっても『良い』のか?
手作り化粧品の「安価」「簡単」「安全」「効果がある」というところに惹かれている方がいらっしゃると思います。
インターネットでもそう書かれている記事は多いですが、今回、実際に作り、使ってみて、「安価」「簡単」「安全」「効果がある」とは言い切れないと思いました。
さらに、家庭では、毎回同じ環境(気温や湿度など)で作ることはなかなか難しいです。完成させてみて「これいいかも!」と思う化粧品ができあがったとしても、気温や湿度が異なることで、同じ質の化粧品を作れないかもしれません。
また、化粧品製造工場は、管理された製造環境の中で、原料の量、種類、混ぜる回数、時間などが決められているため、化粧品の品質は一定レベルで安定していますが、手作り化粧品の場合は、環境と同時に、混ぜる回数や強さ・時間なども自分で管理する必要があります。
同じ手作り化粧品を使っても、同じような効果が出ない理由の一つには、このような作り方の違いもあるでしょう。
また、それ以上に大きいのが、肌質だと思います。もともと肌が健康な人であれば、大きなトラブルもなく手作り化粧品で美肌を保つことができるかもしれません。
でも、乾燥肌・敏感肌の人、さらにニキビやシミ・シワなどの肌トラブルでお悩みの人は、現在の肌自体が水分不足になり、健康ではない状態です。このようなとき手作り化粧品を使用することは、肌に負担を与えるリスクが高いです。
憧れのモデルさんや女優さんのようなキレイな肌を作るためには、まずは、今現在の自分の肌状態を知り、その肌に必要なスキンケアをすることが近道だと思います。
更新日:2017.11.12投稿日:2015.11.12