洗顔料の泡の正体は?
泡の正体は、ズバリ!界面活性剤(かいめんかっせいざい)です。
界面活性剤は、『水』と『油』という相反するものをくっつけて、安定させる働きがあります。『水』・『油』の双方と相性が良く、どちらの汚れも浮かせて落とすこともできます。
これらの特性を利用して、洗顔料を始め、乳液や美容液、クリーム、ファンデーション、グロスなどなど、多くの化粧品が作られています。
そして、界面活性剤には、『泡』を作る働きもあります。
そもそも泡というのは、水が空気を含んで、薄い膜を作った状態です。水をバシャバシャとかき混ぜると、泡ってできますよね。その時にかかる物理的な力によって、水と空気が混ざる現象です。
ただ、水には一つにまとまる力があります。そのため、泡ができてもすぐにパチンっとはじけて消えてしまいます。
界面活性剤は、この水が一つにまとまる力を弱めてくれます。そのため、泡の状態が通常の泡よりも長時間持続します。とは言え、時間が経つと重力によって界面活性剤は泡の下の方に下がります。そして、上の部分が薄くなることで破れて泡が消えます。
でも、ありえないぐらい長期間持続する泡がありますよね。あれって、どうなってるんでしょうか?
洗顔料のありえないモコモコ泡の正体は?
ちょっと水を加えただけでモコモコと泡立って、なかなか消えない。手のひらに乗せてひっくり返してもピタッと吸い付いている泡。
泡洗顔という泡をタップリ立てる洗顔法が流行っているせいか、泡立ちの良いものほど、良い洗顔料と考えている人もいます。でも、実際は、泡立ちと洗顔料の良さは関係ありません。
さて、このありえない泡ですが、もちろん普通の泡よりも泡立ちが良く、普通の泡よりも壊れにくくなっています。一体、どうしているのでしょうか?
分かりやすいように、シャボン玉を例にとってみましょう。あなたも子供の頃にシャボン玉で遊んだことがあると思います。歌にもあるように、シャボン玉は飛んで壊れて消えます。
シャボン玉も洗顔の泡も、構造は同じです。通常のシャボン玉は、水と食器用の洗剤などを混ぜます。洗剤にも界面活性剤がタップリ入っています。だから、水と洗剤を混ぜるとシャボン玉ができるんですね。このようにして作られた一般的なシャボン玉を、通常の洗顔料の泡立ち程度だと考えてください。
で、同じシャボン玉でも壊れにくいシャボン玉もあります。壊れないシャボン玉の作り方として一般的なのは、水と洗剤の他に、洗濯のりとグラニュー糖を加えます。こうすることで、通常のシャボン玉に比べて、圧倒的に壊れにくくなります。(そのかわり、シャボン玉が割れたら、そこがベトベトになりますが。)
壊れにくくなる理由は、シャボン玉の弱点を補強しているからです。シャボン玉が壊れる理由は、主に3つあります。
- 空気中のちりやホコリがシャボン玉にぶつかる
- 水分の蒸発
- 重力で上の部分が薄くなる
洗濯のりとグラニュー糖が、『増粘剤』の役割を果たすことで、シャボン玉の表面にネバネバ効果が発揮されて、ちりやホコリに強くなり、水分の蒸発を防ぎ、重力に負けないシャボン玉になります。
洗顔料のありえない泡もこれと同じです。泡が立ちやすく、消えにくくするために、専用の原料を配合しています。
シャボン玉の場合は、壊れないためにいろんなものを配合してもかまわないでしょう。壊れにくいというメリットは、非常に大きなものです。そもそもシャボン玉は作ることが目的です。そして、その作ったシャボン玉が長時間浮遊するさまは非常に楽しい光景です。
でも、洗顔料はどうでしょうか?
忘れ去られた洗顔の真の目的
洗顔の目的は、言うまでもなく、『汚れを落とす』ことです。次に、できるだけ無駄な刺激を抑えることです。
でも、泡立ちの良さは汚れを落とすこと、刺激を抑えることにも大して役立ちません。
それにも関わらず、ありえない泡立ちを作り維持するために、意味のない原料を配合することになります。意味のない原料を配合することで、本来の洗顔の目的からどんどん遠ざかっていきます。
さらに、こんないらない手間をかければコストが上がります。そして、そのコストは、それを使う人(消費者)が負担することになります。私は、化粧品を作る立場としても使用する立場からしても、こういった商品は作りたくないし、使いたくないと考えています。
あなたは、どう考えますか?
更新日:2017.11.14投稿日:2014.06.25