最近、石鹸にまつわるご相談やご質問が増えてまいりました。
中でも、「面白いな」と思うのが、「石鹸って、肌にやさしいんですよね?」という方と、「石鹸って、刺激が強いんですよね?」と、真逆の印象を持っておられる方がそれぞれにとても多い、という点です。
あなたは、『石鹸』というものに、どんなイメージをお持ちですか?
「肌にやさしいもの」であるのか、それとも、「刺激が強いもの」であるのか、どちらでしょうか?
今日は、そんな『石鹸』そのものについて、お話をしたいと思います。
『石鹸』の作り方
『石鹸』の元となるのは、牛脂、ヤシ油、パーム油、オリーブ油など、動物や植物からとれる【油脂】や、これらを化学反応させた【脂肪酸】と、【ナトリウムなどの塩】です。
使われる【油脂(脂肪酸)】と、その配合量等によって、たとえば、泡が立ちやすい石鹸がつくれたり、汚れ落ちがよい石鹸がつくれたり、と特徴づけることができます。
今、流行しているふわふわの泡が長く持続する石鹸も、
- 泡立ち(起泡性)が良いもの
- キメの細かい泡が立つもの
- 泡が持続するもの
という3つの特徴を持った脂肪酸を組み合わせて作られています。
余談ですが・・・「このふわふわの泡が持続する処方って、結構大変なんや~」と、化粧品研究者がぼやいていました。
なぜかと言うと、上記でご紹介したように、『泡』が優先されて成分が選ばれます。すると、中には、『皮膚への刺激が強いもの』もあるのです。
でも、流行を重視する化粧品メーカーだと、「刺激が強くても、泡立ちがいいものをつくってくれ」と、泡立ちを何よりも優先して作ることを要望するそうです。
だから、「良いものを作りたいと思って、化粧品研究者になった」という自分の想いと、「でも、メーカー側の要望を聞くことも仕事だ」という想いの板挟み・・・。なんとか、刺激もそれほどなく、泡立ちのいい石鹸を作ろうと、研究者たちは、四苦八苦しているそうです。
一般的な石鹸は、丸いものや四角いものなど、形の違いはあれど、見た目には大差がないので、「どれも同じ」と、思われがちです。
しかし、上記のように、「メーカー側が何を目的としてその石鹸を作ったか」によって、『肌にやさしいもの』もあれば、『刺激が強いもの』もある、と言えます。
ですから、各個人が持っている石鹸のイメージは、過去に使われた石けんの使い心地や、その時感じた肌の感覚によって、差があるのです。
『石鹸』は、肌にやさしい?それとも、刺激が強い?
基本的に、『石鹸』はアルカリ性なので、『刺激』と感じる(感じた)方は、多いと思います。
人の肌は『弱酸性』です。ですから、それと真逆の『アルカリ性』に対して、『刺激』と感じることがあるのです。(これの逆も同様で、『強い酸性』に対しても、刺激と感じます。)
これだけを見ると、「肌に刺激が強い」のが正解で、けっして、「肌にやさしい」とは言えません。しかし、実は石鹸には、何にも代えがたい大きな特長があるのです。
それは、【石鹸の界面活性剤】は、『肌に残らない洗浄剤』で、安全性が高い、ということ。
これは、体の汚れや皮脂・汗が流れたためです。同時に、石鹸の界面活性剤も一緒に流れるため、体にも、石鹸の洗浄成分は残りません。
一方で、『キュキュッ』とした使用感がないものとして、よく使われる【石油系の界面活性剤】の場合。使用感は良いものの、その特性から、肌内部の『保湿成分』を洗い流してしまいます。すると、いつの間にか、乾燥肌や敏感肌に傾いていってしまうのです。
(石油系の界面活性剤について詳しい情報はこちらをご覧ください)
ですから、『石鹸には刺激が強い面もありますが、肌にやさしい面もあります』というのが正解だと言えます。
製造しているメーカーに商品を作る目的があるのと同じで、使う側も、その商品を使う目的を明確にしておく必要があるのだと思います。
更新日:2017.11.09投稿日:2013.10.07