保湿成分とは?
保湿成分とは、化粧品に配合される『保湿剤』のこと。
健康な皮膚の角質層には、15~20%の水分が保持されています。
この状態が保たれていると、角質層の90%を占める角質細胞が正常な形状と機能を保ち、しなやかでなめらかなハリのある皮膚が維持されます。
ですから、肌の中に適切な水分が保持された状態のことを、『保湿』と言います。
そして、その状態を人為的に作り出すことが、『保湿効果』です。
具体的には、肌の中に適切な水分が保持された状態を作り出す手段や行為のことで、多くの場合、保湿効果は基礎化粧品を使うことで得られます。
保湿効果を得るために基礎化粧品に配合されるのが、『保湿成分(保湿剤)』です。
保湿成分の種類
- グリセリン
- DPG(ジプロピレングリコール)
- BG(1,3-ブチレングリコール)
- ソルビトール(ソルビット)
- マルチトール
保湿成分(保湿剤)で、昔からよく使われている代表は、グリセリンです。
粘りがあり吸湿性が非常に高い保湿成分です。
ほかには、DPG(ジプロピレングリコール)、BG(1,3-ブチレングリコール)などがあり、いずれも水に溶けやすく皮膚になじみやすい、保湿効果の高い保湿成分です。
これらの保湿成分は、吸湿性に優れる反面、外気が乾燥しているときには水分を蒸発させます。
そのため、空気の乾燥が続く冬など低湿度下では、保湿効果が低下します。
そのため、外界湿度の影響を受けにくい保湿成分と組み合わせて使用されることが多いです。
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水溶性の高分子で、外気湿度に影響をされにくい保湿成分
- ヒアルロン酸
- コラーゲン
- コンドロイチン硫酸
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NMFに存在する成分と類似の保湿成分
- PCA(ピロリドカルボン酸)
- 乳酸ナトリウム
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生体成分と類似の保湿成分
- エラスチン
- グルコサミン(キトサミン)
- リピジュア(ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-61)
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動植物・菌類由来の保湿成分
- プラセンタエキス
- シルク
- ベタイン
- ローヤルゼリー
- ラクトフェリン
- カゼイン
- ホエイ
- トレハロース
- ビフィズス菌
- 酵母エキス
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海洋天然物由来の保湿成分
- 海藻エキス
- 海泥(マリンクレイ)
- フコイダン
などが代表的な保湿成分です。
皮膚が保湿されるメカニズム
角質層は、図のようにへんぺいな形の『角質細胞』が10~20層に重なりあっています。
この角質細胞の中にあるNMF(天然保湿因子)には水分を保つ働きがあり、角質層は20%程度の水分を含んでいます。
NMF(天然保湿因子)は、いろいろな成分の複合作用により、角質層の保水がされているため、”成分”ではなく、”因子”と呼ばれています。
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NMF(天然保湿因子)を構成する成分
- アミノ酸類 40%
- P.C.A(ピロリドンカルボン酸)12%
- 乳酸塩 12%
- 尿素 7%
- グルコサミン、クレアチニンアンモニア、尿酸 1.5%
- クエン酸塩 0.5%
- 無機塩類 18.5%
- 糖、有機酸、ペプチド、ほか未確認物質など 8.5%
参考:中央書院 美容の医学 美容皮膚化学辞典
この水分を保持するのが、『細胞間脂質』と『皮脂膜』です。
角質細胞と角質細胞の間を埋めてくっつける役割を持つ『細胞間脂質』は薄い層で、水分を挟み込んで、交互に層をなす『ラメラ構造』をしています。
このラメラという緻密な構造が、全身の皮膚に存在しています。
この構造が異物の侵入を防ぎ、免疫反応を起こさないバリアの働きを強化してくれています。
- 皮脂腺から分泌された皮脂
- 表皮ケラチノサイトから作られた表皮性脂質
- 汗腺から分泌された汗
これが混じりあい、皮膚表面に『皮脂膜』として形成され、水分の蒸散を防ぎます。
ちなみに、脂質に含まれるコレステロールやラノリンが『天然の乳化剤』となり、本来は混じりあわない”水”と”油”をうまく融合させてくれます。
これら『NMF(天然保湿因子)』と、『細胞間脂質』、『皮脂膜』の3つが機能を発揮し、肌は保湿されているわけです。
そして、基底層から角質層へと肌細胞が上がっていくターンオーバーという過程を経ることにより、『NMF(天然保湿因子)』、『細胞間脂質』、『皮脂膜』という緻密な保湿効果が生まれ、バランスを保っているのです。
参考:中央書院 コスメティックQ&A事典
投稿日:2018.10.16