玄関やベランダで使う空間用虫よけ剤を販売する大手4社に、消費者庁が景品表示法違反(優良誤認)で措置命令を出す検討をしていることが17日分かった。風通しのよい場所では効果が不十分だったという。(引用元:『消費者庁が空間虫よけ剤4社に措置命令検討 』/朝日新聞デジタル )
措置命令とは、消費者庁が景品表示法に違反して、商品の効果が実際よりも優れている、価格が安いように感じるなど誤解を与えるような不当表示をした業者に対して、撤回、再発防止を命じる行政処分のことです。今回の検討対象企業は、大日本防虫菊、フマキラー、アース製薬、興和の4社です。
空感虫よけとは、玄関やベランダにつるしておくタイプの商品です。一番有名なのは『虫コナーズ』ですね。つるしておくだけで『簡単虫よけ』と広告しており、ユスリカやチョウバエを遠ざける効果があるとされていました。
でも、実際には風通しのよい場所では、あまり効果がないようです。つまり、空気の移動がないところで使用する必要があるということです。
玄関やベランダなど、屋外で空気が移動しないところってあるんでしょうか?空気の動きがないところとなると、どうしても室内になります。でも、室内に置いたところで、蚊やハエが侵入した後に効果があったとしても、時すでに遅し・・・蚊やハエは、その場所を離れて、室内を飛び回ります。
ほんの少しは虫よけ効果はあるかもしれないけど、これでは私たちが希望する使い方では、虫よけ効果は発揮されませんよね。
私たちが期待する虫よけ効果がない商品だった。正しい使い方をしても効果がないのに、あたかも虫よけ効果があるように誤解を与えたとして、措置命令が検討されています。
私も、今まで虫よけ商品を20個以上試しました。私は、虫がすごく嫌いで、あの羽音を聞いただけでもぞっとします。肌が超敏感なために、虫に刺された時のダメージが一般の人よりも大きいことも、その理由の一つです。
だから、最初に虫よけ商品を知ったときは、嬉しくて嬉しくて、家のすべての出入り口にぶら下げました。でも、蚊やハエが減るなどの効果を実感することができませんでしたが、「何もしないよりは、マシだろう」と使い続けていたある日・・・虫よけ商品をぶら下げて、何気なく見ていると、蚊がブ~ンと飛んできて、虫よけ商品にピタッととまりました。ジーーーッと観察していると、しばらく休憩して、元気よく飛んでいきました。まったく苦しいそぶりを見せませんでした。ちょっと疲れたので休憩していたようです。
これを機に、私の虫よけ商品への信頼感はゼロになり、これ以降は買うことを止めました。 もしかしたら、効果があるとされていた蚊の種類が違ったかもしれませんが、ここまで効果がないことをまざまざと見せつけられると、さすがに使う気が失せてしまったのです・・・。
過去に、空間除菌は効果なしと措置命令
そう言えば、昨年の2014年3月24日、今回とよく似たパターンで、消費者庁が『空間除菌根拠なし』として17社に措置命令を出しました。
二酸化塩素を発生させるグッズを部屋に置いたり首に掛けたりするだけで「空間を除菌できる」とうたった宣伝には根拠がなく、景品表示法違反(優良誤認など)に当たるとして、消費者庁は27日、販売する17社に再発防止などを求める措置命令(行政処分)を出した。(引用元:『「空間除菌」根拠なし 消費者庁、17社に措置命令 』/日本経済新聞)
これは、部屋に置いたり、首にかけるだけで、『空間除菌できる』とされていた、二酸化塩素を発生させるという商品です。「ポンとおくだけ! 空間に浮遊するウイルス・菌・ニオイを除去」などと宣伝がされていました。
しかし、実際は、殺菌効果を密閉空間で実験した根拠でした。そのため、人の出入りや空気の流れがある生活空間で使うには十分な裏付けとは言えない、と消費者庁が判断したのです。
この商品も、私は購入していました。効果は目に見えないので、あるのかどうか全く分かりませんでしたが、うちにはまだ小さな子供もいたので、「子供のために、少しでも除菌できれば」と、使っていました。
実は、販売員に、「お子さんの首からぶら下げておけば、インフルエンザや風邪の予防になりますよ」と、言われたことも購入のきっかけでした。だから、このニュースを聞いたときは、騙された気持ちになり、非常に残念でした。
代表的な商品は、据置型で大幸薬品の『クレベリンゲル』、携帯型だと中京医薬品の『クイックシールドエアーマスク』です。こういった薬品会社がどうどうと誇張した商品を販売するのは、信じたくありませんでした。ここまで大手の製薬会社だったら、設備も整っていて、効果の検証ができているはずです。「確信犯だったんじゃないか?」という疑念がぬぐえません。
本来は、我々にとってもっとも信頼できる業種であって欲しいのですが、こうしたことがあるたびに不信感を持ってしまいます。
あと偶然かもしれませんが、消費者庁の措置命令発表もなるべくこういった企業に配慮しているような気がします。
虫よけ商品のピークは、5~6月。
今回の措置命令は、シーズンオフの1月。
空間除菌商品のピークは、12月~1月。
措置命令が出たのは、ピークが過ぎた3月。
まさかとは思いますが、裏で示し合わせてはいないですよね・・・?消費者庁という名前通り、企業側ではなく消費者側に立ってくれているんですよね・・・?
世の中に蔓延している根拠のない効果
こういった誇張した表現で購買意欲をあおる商品って、実はどこにでもあります。以前に、『マイナスイオン効果をまだ信じてる?』でも書いたとおり、大手家電メーカーでもありました。
化粧品業界でも横行しています。 根拠のないことを堂々と宣伝しています。
例えば・・・
「ノンシリコンシャンプーが安全だし、効果的 」
「防腐剤は危険だから避けたほうが良い」
「オーガニック化粧品こそが安全である」
「オイルが肌に栄養を与える」
などなど。
挙げて行けばキリがありません。
こういった間違った情報を信じていると、損をするばかりです。だからこそ、正しい情報ソースを持つ必要があります。
また、私のような化粧品業界に身を置き、多くの化粧品研究機関から情報を入手できる立場の人間は、「化粧品に関する正しい情報をどんどん発信する必要がある」と、改めて感じた一件でした。
投稿日:2015.01.22