オーガニックヘアケア・コスメで有名な『ジョンマスターオーガニック』が表示成分を誤表記していたことが発覚。
自主回収を行いました。
このたび、弊社が製造販売しておりますヘアケア及びスキンケア製品のラベルに、一部成分表示の不備があったことが判明いたしました。つきましては、当該製品の自主回収を行いますのでお知らせいたします。(引用元:『製品の自主回収に関するお詫びとお知らせ』/公式:ジョンマスターオーガニック)
ようは、
- 商品ラベルに表示不備があったため、回収する
- 表示に不備があった成分は、安全な成分だから問題はない
- 対象商品は、正しい表示の商品と交換する
という話です。
これを読んだ9月21日の段階では、「へーそんなミスあるんだな~」と思ったぐらいでした。
ですから、Yahoo!ニュースで続報が出たのを見た私は、「ヘアケア商品の誤表記ぐらいで、トップニュースに出るなんて日本は平和だな~」と軽く考えていたのですが、不備だとされる中身が公表されてびっくりです。
これって、誤表記で済むレベルじゃないでしょう???結構な大事件です。
誤表記どころではないその不備内容とは
今回の事件を簡単に説明すると、
- オーガニックヘアケア・コスメでは、通常は使われない成分が入っていた
- ノンシリコンと言いながら、シリコンが使われていた
- 天然植物成分が50%程度配合と言いながら、実は微量しか配合されていたなかった
- 高額シャンプーでありながら、量販店で特売価格で売られるような安価なシャンプーと同等の洗浄成分が使用されていた
- 表示されていない成分が配合されていた
などなど。
つまり、ジョンマスターオーガニックは、普通のシャンプーなのに、『天然由来成分100%』や『オーガニック植物成分を配合』、『ノンシリコンヘアケア商品』など、オーガニック商品を装っていたということです。
しかも、その数121万個!38種類!日本国内取扱商品の4割!
扱い商品の4割を間違った情報で販売していたということです。
ジョンマスターオーガニックのシャンプーは、1本あたり3,000円程度なので、ざっくりですが、合計すると36億3000万円ということになります。
すごいですね。
さて、被害にあった方は、裏切られた気持ちでしょうから本当に気の毒です。
こういう信頼を裏切られる行為って、気落ちしますよね。
せっかくの機会ですから、悪い意味で良い事例なので、この事件からしっかりと学びましょう!
ヘアケア・コスメの成分は
こんなにウソをつくことが可能なの?
結論を言うと、「可能」です。
一般的に化粧品やシャンプーなどのトイレタリー用品の多くは、情報が外部に漏れません。
その理由は、主に秘匿義務やその専門性の高さによるものです。
だから、ウソをついてもバレにくい業界です。
また、ウソをチェックする機関もありません。
全成分表示義務という「配合されている成分は全部書きましょう」という決まりはありますが、表示されているそれが本当かどうかを調べる仕組みはありません。
だから、極端な話にはなりますが、ウソはつき放題です。
このことから、化粧品の表記や宣伝文句には、ウソが含まれる可能性が多分にあることが分かります。
ウソをついている化粧品会社は
いっぱいあるの?
ここは、正直どれだけの数があるかは分かりません。
ですが、ジョンマスターオーガニック以外にもあることは確実だと思います。
今回のように分かりやすいウソは当然ながら、合法的なウソをついているところは山ほどあります。
例えば、『着色料無添加化粧品』。
この場合、着色料を配合していない化粧品ということになります。
消費者の立場からすれば、着色目的の成分を配合していないという理解が一般的です。
でも、名目は保湿成分で、着色料として使える成分があります。こういった成分を使って着色します。
つまり、着色はしているけど、着色成分は使っていないということです。ややこしいですね。
他にも、『防腐剤無添加』と言っていながら、キャリーオーバー成分として配合されていることもよくあります。
広告文句にしても、「肌の奥深くまで浸透」と言いながら、片隅に小さな文字で「※角質まで浸透」とか書いてあるのをよく目にします。
角質に浸透するのは、化粧品ではごく普通のことです。
これらも厳密言えば、消費者を欺いていると思うのですが、どうなんでしょうね?
こうしたことから、厳密に言うと『ウソ』の範疇に含まれるであろう売り文句を使う会社はたくさんあります。
ウソを見破ることってできるの?
すべてのウソを見破るのは無理ですが、『知識』と『経験』があれば可能です。
例えば、私は職業柄、自分の体を使っていろんな化粧品を実験しています。
だから、実際に使ってみると、どれぐらい刺激のある成分が使われているのかは実感として分かります。
また、研究者レベルなら、表示を見ただけで、ある程度の効果や使用感を想像できます。
すごい人は、製造方法や成分の配合率まで見抜きます。
まぁ、こんな人は稀ですが。
今回のオーガニックヘアケア商品にシリコンが使われていたというのも、分かりやすい例だと思います。
シリコンを使っているかどうかは、指どおりの良さでおおよそ分かります。
ノンシリコンは、どうしても使用感がキシキシしてしまいがちです。
こちらの記事にもあるように、美容師の方は気づいていたみたいです。
美容師は数年前から「コンセプトが変化しているとは感じていた」 同社のヘアケア製品は、小売店での販売だけでなく、美容室でも利用されていた。都内のある美容室の代表はここ数年で同社の変化を感じていたと言う。(引用元:『高級ヘアケアのジョンマスターオーガニック、成分表示の誤りで自主回収 あまりの違いにネットでは困惑広がる 』)
しかし、ジョンマスターオーガニックの口コミ見ると、多くの人は気づいていなかったようです。
今となっては、この口コミも本当かどうか疑わしいですが。
もし、この口コミが本当なら、『オーガニック』や『ノンシリコン』が意味のないものだと立証されたことになります。
こうしたことから、仕事で日常的に携わっている人なら化粧品のウソを見抜けるが、一般の人は難しいことだと分かります。
じゃあ、化粧品のウソを見抜くことは無理なの?
「どんなウソも100%見抜く」というのは無理だと思います。ただ、ある程度は分かります。
これは、化粧品だけでなくすべてに言えることなのですが、『どこまで本質をついているか?』を注意深く観察すれば、あれ程度の判別ができます。
例えば、今回のオーガニックヘアケア・コスメ商品。
シャンプーや化粧品において、本当に『オーガニック』という要素が必要なんでしょうか?
ここについては、いろんな考えがあるので一概に言えませんが、私は、ある一定の『天然成分第一主義』をターゲットにした販売手法に過ぎないと考えています。スキンケアの本質には何ら関係がないからです。
ノンシリコンについても同じです。
シリコンを入れないほうが髪や頭皮にいい理由なんて一つもありません。
それよりも髪がきしむこと、それにより頭皮にダメージを与えるデメリットのほうが大きいと考えます。
まあ、もともと私は、『ノンシリコンシャンプーだから安全!』という主張に対して懐疑的です。
詳しくは、『「頭皮に安全なのはノンシリコンシャンプー」って本当?』や、『ノンシリコンシャンプーの不思議』で話をしています。
私が、自社の商品をノンシリコンシャンプーにしているのには、きちんとした理由がありますので、ぜひ参照ください。
その証拠に、今回の誤表示に関する発表でもジョンマスターオーガニックは、『健康被害はない』と断言しています。
これは、オーガニックであろうがなかろうが、ノンシリコンであろうがなかろうが、どっちでも同じだよと認めているのと同義です。
それが分かっているなら商品コンセプト変えたらいいのに、と思うのですが。
このように、その商品の本質、本当の目的に即したものかどうかである程度判断できると思います。
当然、そのために正しい知識が必要となります。
私のスタンスは、『WELQ問題から見る、自分の答えの見つけ方』でもお話ししているとおりですから、今後もこれまでと変わらずに地道にやっていこうと思います。
まとめ
今回の件では、オーガニックヘアケア・コスメ商品だと言いながら、通常のヘアケア・コスメ商品だった。
ノンシリコンと言いながら、シリコンが含まれていた。
それを使っていた消費者は、それに気づかず、クレームもなかった。
むしろ、よく売れていた。
ジョンマスターオーガニックも問題発覚後、健康被害はないと断言している。
つまり、オーガニックヘアケア・コスメも、ノンシリコンも、スキンケアの本質には無関係であると実証されたということですね。
更新日:2018.01.16投稿日:2017.10.04