2016年5月、ステロイドを配合した化粧品が発見されました。このニュースが出た時、当社のお客さんには伝えておいたのですが、ご存じない方が多いようなので、ここでもお知らせしておきます。
日中友好開発株式会社 が製造販売する下記の化粧品について、ステロイド成分が検出された旨の情報提供がなされましたので、お知らせいたします。
商品名:ばらクリーム、三黄クリーム
検出された成分名:トリアムシノロンアセトニド 21-アセテート
(引用元:『ステロイド成分を含有する不良化粧品の発見について』/厚生労働省)
配合禁止成分で、日本国内で医薬品として承認前例のない、ステロイド成分である「トリアムシノロンアセトニド 21-アセテート」が『ばらクリーム』『三黄クリーム』から検出されたそうです。
国内で医薬品として承認されている類似化合物である「トリアムシノロンアセトニド」は、副作用として、白内障・緑内障などが知られており、同様の健康被害が懸念されるもの。色々な点で心配される事件です。
バカ売れしていたステロイド入りクリーム
ステロイドを配合した化粧品は、薬局で製造販売されており、中国で製造して輸入販売していたようです。
売れていた時期は、1週間にそれぞれ100個、計200個販売されていたようで、1ヶ月だと約800個、1年だと約1万個です。価格は、4,000円程度だったようで、もしそうなら年間この2つのクリームだけで4,000万円も売り上げていたことなります。
単一の薬局が販売する量としては、驚異的な売上です。でも、そりゃあ、売れますよね。だって、ステロイドが入っているんですから。化粧品と言いながら、薬品と同等の効果があるんですから。
安全だと思っていたのに副作用が!
アトピー性皮膚炎(以下、アトピー)で悩んでいる方の多くは、ステロイドがアトピーに対して効果的なのは百も承知です。 ただ、効果だけでなく、重い副作用があることも知っています。 だから、できるだけ副作用が少なくて効果のある治療法を探しています。
そこに、アトピーに効果のある化粧品があれば、飛びつくのは当然でしょう。 化粧品は薬品に比べて効果が限定的ですが、副作用はないと言っても過言ではありません。 もちろん、ゼロではありません。 過去にも、石鹸に含まれた小麦成分や美白化粧品による白斑問題なども起きています。
それでも薬品と比べると、圧倒的に安全性が高いと言えます。 つまり、化粧品を使う人は、効果よりも安全性を重視している人が多いと言えます。 言い換えれば、ステロイドの副作用を避けることが重要だと考えています。 副作用を気にしないのであれば、絶対に薬品を使った方が効果が出ますからね。
実際、今回のクリームのネット上の口コミを見ましたが、まさにステロイドを使った人の口コミと酷似していました。 だから、使っていた人のショックは計り知れないと思います。 まさか、ステロイドを避けていたつもりが使っていたとは・・・気の毒でなりません。
私も過去にステロイドを使った経験があります。 だから、決してステロイドを否定しているわけではありません。 状況によっては、使わざるをえない場面もあるでしょう。 ただ、副作用のあるものを使っていることを把握しておくことは必要です。 把握することで副作用を最小限に抑えることができます。
薬品並みの効果を化粧品に望んではいけない
化粧品を開発・製造しているにも関わらず、こんなことを言うのはなんですが、化粧品に薬品並みの効果を求めるのは間違いです。 化粧品は、効果より安全性。 薬品は、安全性より効果を優先させます。
薬品並みの効果を持ちつつ、化粧品並みの安全性が確保される夢のような商品はありません。 もちろん、その理想に近づけるように日夜研究開発が行われていますが。
化粧品の効果はあくまでも『保湿』です。肌がうるおうようになった以外のこと、今回のようにアトピーが劇的に治るだけでなく、「しわが消える」、「今あるシミが消えて、新たなシミも増えずに美白になる」 など、こういった効果がもし出れば、嬉しい気持ちを抑えつつ、中身を疑いましょう。 もしかしたら、今回と同じことが行われているかもしれません。
投稿日:2017.01.28