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毎日スキンケアをしているのに、いつまでも乾燥肌が改善されないあなたに質問があります。
もしかして、『化粧水』を使っていませんか?
こんな質問をすると、あなたは「化粧水を使うのは当然でしょ」と不思議に思うことでしょう。
実際に、50代女性の90%が化粧水を使っています。
では、ここで再度質問です。
あなたは、なぜ、『化粧水』を使っているのですか?
多くの人は、『化粧水』を使うのが当然と思っていて、化粧水でなければならない明確な理由を思いつかないのではないでしょうか。
現在50代の方は、今から30年以上前の10代後半から遅くとも20代前半にスキンケアを始められたと思います。
今から30年以上前というと、日本の基礎化粧品で『肌をうるおすもの』といえば『化粧水』しかありませんでした。
ですから、そのときの考えそのままに、特に疑問を持たずに化粧水を使い続けている人が多いようです。
でも、実は、化粧水で肌をうるおすことはできません。
そして、そのことが、50代以降の乾燥肌やその他の肌トラブルの大きな原因となっています。
例えば、現在、次のような悩みはありませんか
これらはどれも、肌のうるおい不足から起こる肌トラブルです。
その原因のひとつは、体の変化です。
40代を境に起こるこの変化が、50代にはさらに加速します。
肌のうるおいを維持するために欠かせないヒアルロン酸やセラミド・女性ホルモンのひとつであるエストロゲンは、50代では大きく減少することが分かっています。
Longas MO,et al.Carbohydr Res.159,127-136(1987)
また、皮脂の分泌量も、年齢を重ねるにつれ減少します。
皮脂は、肌表面で膜を張り、水分の蒸発を防いだり、肌のやわらかさを保つ大切なものなのに、これも減少してしまうのです。
このような変化は、40代から徐々に起こり始め、肌のうるおい不足を招き、その結果、乾燥肌・かさつき・ハリやツヤ不足・シワなどの肌トラブルを生み出します。
つまり、40代はもちろん、50代からは、それまで以上に肌をうるおす必要性があるのです。
このことは、ほとんどの人が知っているはずです。
「だから、毎日化粧水でケアをしているのよ」という声が聞こえてきそうです。
でも、あなたの乾燥は改善していますか?
もしかして、50代から深刻化する肌トラブルに悩んでいませんか?
日々、肌の老化を実感していませんか?
もしそうなら、あなたは化粧水ケアの大きな大きな落とし穴にスッポリとはまっているのかもしれません。
50代で陥りがちな
化粧水ケア、5つの落とし穴
化粧水ケアの落とし穴1
どの化粧水も9割以上は『水』
『高保湿』に過度な期待は禁物
化粧品の容器やパッケージには、配合されている成分がずらりと記載されています。
この表示は、「配合量の多いものから順番に表示する」というルールにのっとっています。
あなたが普段使われている化粧水、配合されている成分欄を一度見てみてください。
大抵の場合、化粧水の成分表示の先頭には、『水』と記載されています。
つまり、全配合成分のうち、水の割合が一番高いというわけですね。
では、『水』は、実際にどれくらいの割合を占めると思いますか?
もちろん商品によりますが、一般的な化粧水は、全体の9割以上が水(H2O)です。
残りの1割(数%)以下に、油分や保湿成分・防腐剤・香料等が含まれます。
つまり、化粧水の中身は、「ほぼ水」といっても過言ではありません。
肌についた水分は、体温によって蒸発します。
これは、肌表面についた水分を気化させることで熱くなりすぎた体温を冷やすことが目的です。
私たち人間は、このような高度な体温調節機能があるために、さまざまな環境下で活動することができます。
例えば、激しい運動をした後やお風呂上りには、体からたくさんの湯気が出ますね。
あれは、汗や体についた水分がどんどん蒸発している現象です。
ですから、肌につけた化粧水も、同じように蒸発していきます。
この蒸発を防ぐ役割を果たすのが、保湿成分や油分です。
成分 | 役割 |
---|---|
水 | 水分を与える |
油分・保湿成分 | 水分の蒸発を防ぐ |
しかし、『ほぼ水』という状況では、その力は決して強くありません。
もちろん、各化粧品メーカーが研究を重ねて、保湿力を上げる工夫をしています。
なかには、塗った後もしばらくしっとり感を感じられる化粧水もあります。
それでも、化粧水の目的は、あくまでも『肌に水分を与えること』です。
それを維持する(保湿する)効果は高くはありません。
50代向けの化粧品として、『高保湿』の化粧水がおすすめされることがあります。
でも、たとえ『高保湿』を謳う化粧水であっても、ほぼ水であることには変わりません。
あくまで一般的な化粧水の中で、保湿力が高いだけであって、本当の意味で保湿力が高いわけではないのです。
過度な期待は禁物です。
つまり、化粧水はほぼ水であるために、たとえ『高保湿』と書かれていても大した保湿力はない、ということです。
『高保湿』を謳う化粧水に多いとろみのあるタイプも、保湿力が高いとは限りません
このお話をすると、「でも、たっぷり使えば、やっぱりうるおうんじゃない?」という声を聞くことがあります。
美容雑誌やウェブサイトでは、「化粧水は質より量」というフレーズを見かけることもあります。
質が悪い、つまり保湿力が低いなら、量でカバーするという考え方です。
一見、正しそうに聞こえますが、大きく論点がずれています。
というより、むしろ、化粧水をたっぷり使うことで乾燥状態が助長されます。
どういうことかというと・・・
化粧水ケアの落とし穴2
たっぷりの化粧水が肌を乾燥させる
さきほどお話したように、肌についた水分は、体温によって蒸発します。
油分や保湿成分が少ない化粧水では、どんなにたっぷり使っても、この蒸発を防ぐことはできません。
たっぷり使っても肌にはほとんど残らず、たっぷり蒸発することになります。
化粧水が蒸発するだけでもよくないのに、さらに困るのは、蒸発するときに、もともと肌が持っている水分も一緒に奪っていく『過乾燥』が起こることです。
つまり、化粧水を塗ることで、肌が余計に乾燥してしまうことがあるのです。
化粧水を塗れば塗るほど、肌の水分と一緒に蒸発してしまいます。
これは、水仕事をしていると、手指がカサカサになるのと同じ現象です。
ただでさえうるおいを維持しにくくなる50代以降の肌にとって、このうるおい喪失は肌トラブルを招く大きな原因となります。
皮脂は、肌を外界の刺激から守る役割があるので、ほぼ全身の表面を覆っています。
そのため、油分と相性の悪い水分は、肌につけてもはじかれてしまいます。
ほぼ水である化粧水も、例外ではありません。
化粧水を顔に塗っても留まることはなく、皮脂に弾かれて、肌表面を伝って流れてしまいます。
あなたも、化粧水を使っている最中に、腕や首元がびしょぬれになってしまった経験はないでしょうか?
せっかくたっぷり化粧水を使っても、肌に浸透しなければ意味がありません。
たっぷりの化粧水を顔になじませるためには、コットンや手のひらを使って、丁寧に肌につける必要があります。
そのためには、数分(多い人だと10分以上)かけてお手入れが行われます。
でも、こうして塗っている間にも、化粧水は肌の水分と一緒に蒸発していきます。
つまり、時間をかけて化粧水のお手入れをすればするほど、肌が乾燥してしまうのです。
時間をかけて丁寧にスキンケアをしているのに、肌が乾燥してしまうなんて本末転倒ですよね。
同じことが、ローションパックやマスクパックにも言えます。
どういうことかというと・・・
化粧水ケアの落とし穴3
ローションパックでカサカサ肌に
肌をうるおす方法として、パックも人気です。
特によく行われるのが、顔の形をした不織布などのシートに、たっぷりの化粧水がひたしてあるマスク型のパックです。
フェイスマスクとも呼ばれます。
また、コットンにたっぷりの化粧水をつけて顔に貼るローションパックも人気です。
でも、お察しの通り、先ほどお話したのと同じ現象が、マスクパックやローションパックでも起こります。
パックを行っているときはうるおっているように感じられますが、パックを終えた瞬間に、化粧水は蒸発していくのです。
ですから、パックのあとはうるおいを維持するための適切なケアが必要です。
また、「肌をしっかりうるおしたい」「肌の調子を良くしたい」という想いが強いと、ついついパックを長時間顔にのせてしまいやすいです。マスクにしみ込んだ化粧水がカラカラになってしまうような場合は、明らかにやりすぎです。
これでは、パック中にも、肌のうるおいが奪われてしまいます。
このようなパックを頻繁に行っていると、なおさら、肌を乾燥させてしまいます。
さて、ここまで読んでいただくと、「なぜ、今まで疑問を持たずに化粧水を使っていたのか?」という思いがフツフツと湧き上がってきたのではないでしょうか?
そんな化粧水ですが、「特別な成分が配合されていれば、肌にいいんじゃない?」という声を伺うことがあります。
でも、ここにも注意が必要です。
化粧水ケアの落とし穴4
セラミドやヒアルロン酸は、化粧水では補えない
乾燥肌対策・肌のうるおい解消のために人気の成分と言えば、セラミドやヒアルロン酸です。
どちらも、肌内部に存在する成分で、肌のうるおいを維持する大切な役割を果たしています。
そして、冒頭でご覧いただいた通り、年齢を重ねるにつれて減少する成分でもあります。
そのため、「減少する成分を化粧品で補おう」という考えのもと、数年前からセラミドやヒアルロン酸を配合した化粧品がたくさん販売されるようになりました。
50代からのスキンケアにも、おすすめされることが多いです。
でも、ここには誤解がひとつあります。
化粧品成分のセラミドやヒアルロン酸は、確かに保湿成分のひとつです。
ですが、肌内部にある成分とは別物です。
ですから、「化粧品に配合された成分で、減少した肌の成分を補うことはできない」のです。
いくら使っても、肌内分のセラミドやヒアルロン酸が増えることはありません。
そもそも、そんな簡単に体内に入っていきません。
あくまでも、肌表面で保湿の役割を果たすのみです。
有名な成分や、肌内部にあるのと同じ名前の成分だとしても、やはり過度な期待はしないことをおすすめします。
というより、そんな理屈で商品を売ってくる人は信用しないほうがいいです。
そして、いよいよ最後の落とし穴は『価格の高い化粧水』です。
「価格の高い化粧水は効果がある」と考えている方が一定数います。
これは化粧水だけでなく、化粧品全体にも言えるのですが、その期待に見合う効果があるか?というと・・・
化粧水ケアの落とし穴5
価格による違いが一番出にくいのが化粧水
化粧品の価格は、さまざまな要素で決まります。
原料・容器代・パッケージ代・広告費・物流コスト・保管費などです。
一般的に、その中で、もっとも価格に反映されるのが広告費。
次に、容器代やパッケージ代。
その次ぐらいに原料となります。
順番 | 化粧品の価格を決める要素 |
---|---|
1 | 広告費 |
2 | 容器・パッケージ |
3 | 原料 |
ですから、テレビCMをガンガン流して、女性誌に広告をたくさん出して、有名人を使っている化粧品はもれなく高額です。
見たこともないデザインや変わった素材で作られた容器やパッケージを使った化粧品も同様です。
このあたりは、各化粧品メーカーの考え方が大きく、一概に判断することができません
でも、私たちが上記の要素より大切だと考えている『原料』は、ある程度、中身と価格に関連性があります。
化粧水の場合、その9割以上が水です。
水にもイオン交換水や蒸留水といった精製水、付加価値を出すために富士山の水や海洋深層水などの天然水など、種類はいくつかありますが、価格差は大してありません。
また、日本は水資源が豊富なために水の原料費が高くつくこともありません。
つまり、化粧水の価格差が出るのは、残り数%程度に含まれた成分です。
まっとうに化粧水を製造すると、このようなほんの少しの原料によって化粧水の価格を高めることはかなり難しいです。
つまり、化粧水は、その性質上、高額になりにくい化粧品なのです。
価格が特別に高い化粧水があるとしたら、以下の3つが原因でしょう。
- 商品に付加価値をつけるための特別な成分を配合している
- 凝ったオリジナルの容器を使用している
- 有名人を使うような大規模な広告展開をしている
「価格が高い分、肌をうるおす効果が高い」とは言えないのです。
本当に肌をうるおすのであれば、価格ではなく、保湿力が高いという機能性を重視した化粧品を選ぶことが大切です。
50代の乾燥肌ケア まとめ
肌のうるおい不足を感じたら
『化粧水』を卒業するタイミング
『スキンケアの基本』として、50代の人が当たり前のように使用している化粧水ケア。
ですが、ここまでお読みいただいたように、一般的に言われる化粧水ケアは、肌のうるおいを奪います。
体や肌が変化してゆく50代以降のスキンケアにおいては、この化粧水ケアのデメリットが表れやすくなります。
もしあなたが、毎日きちんとスキンケアを行っているのに、「日に日に肌が乾燥していく」「肌の衰えを感じる」「肌がうるおわない」という場合には、化粧水を使ったスキンケアではなく、保湿効果を重視したスキンケアを試してみませんか?
「保湿ケアならもうやっている」という方もいらっしゃると思います。
実は化粧水ケアと同じで、一般的な保湿ケアにも多くの思い込みと誤解が存在します。
それを解消してもらうと、驚くほど、肌のうるおいは変わります。
ぜひそれを知ってもらいたいと思い、この記事を書きました。
正しい保湿ケアを知ることで、今はもちろん、これから5年後10年後、あなたのキレイ肌を生み出すきっかけになることを願っています。
化粧水を使わない、保湿効果を重視したスキンケアをお試しください。
更新日:2017.06.16投稿日:2017.06.15